年代別映画批評

1970年代

1970年代に公開された映画の批評・考察記事です。当時の社会背景や映画表現とともに読み解きます。

12 本の記事

犯罪・社会派 · 1975

狼たちの午後批評:犯罪者がメディアによって奇妙な英雄へ変わる映画

『狼たちの午後』は、銀行強盗に失敗したソニーとサルが人質を取り、警察、群衆、テレビメディアを巻き込む一日を描いた犯罪・社会派映画である。シドニー・ルメットは、犯罪者がメディアと群衆の視線によって奇妙な英雄へ変わっていく過程を通して、1970年代アメリカ社会の不信、同情、怒り、見世物化を描いた。

制作国
アメリカ
監督
シドニー・ルメット
  • メディア;犯罪;同情;社会;群衆
批評を読む

社会派ドラマ・風刺 · 1976

ネットワーク批評:怒りまでも商品化するメディア社会

『ネットワーク』は、視聴率低迷で降板を告げられたニュースキャスター、ハワード・ビールの暴走をきっかけに、テレビ局が怒りや狂気さえ番組商品として利用していく社会派ドラマ・風刺映画である。シドニー・ルメットは、メディアが現実を伝える装置から、現実そのものを消費する装置へ変わる恐怖を描いた。

制作国
アメリカ
監督
シドニー・ルメット
  • テレビ;怒り;資本;メディア;消費
批評を読む

フィルムノワール・ミステリー · 1974

チャイナタウン批評:都市開発と権力腐敗を描くノワール

『チャイナタウン』は、私立探偵ジェイク・ギテスが不倫調査をきっかけに、ロサンゼルスの水利権、都市開発、家族の秘密、権力の腐敗へ巻き込まれていくフィルムノワール・ミステリーである。個人の推理が真相へ近づくほど、世界の腐敗を変えられない無力さが露わになる。

制作国
アメリカ
監督
ロマン・ポランスキー
  • 権力;水;都市;腐敗;無力
批評を読む

ホラー・宗教映画 · 1973

エクソシスト批評:近代医療と信仰の狭間で悪を描くホラー

『エクソシスト』は、少女リーガンの異変を通して、近代医療、家族の不安、信仰の揺らぎ、悪の実在を描いたホラー・宗教映画である。恐怖の中心にあるのは悪魔そのものだけではなく、合理的な説明が崩れたとき、人間が何を信じ、誰を救おうとするのかという問いである。

制作国
アメリカ
監督
ウィリアム・フリードキン
  • 信仰;悪魔;家族;身体;近代医療
批評を読む

SFホラー · 1979

エイリアン批評:宇宙船の閉鎖空間が生む身体侵入の恐怖

『エイリアン』は、宇宙船という閉鎖空間に未知の生命体が侵入するSFホラーである。恐怖の中心にあるのは怪物そのものだけではなく、身体に入り込まれること、企業に命を道具化されること、そして安全なはずの空間が内部から崩れていく感覚である。

制作国
アメリカ・イギリス
監督
リドリー・スコット
  • 身体;恐怖;寄生;企業;女性性
批評を読む

SF・哲学映画 · 1979

ストーカー批評:願望の部屋が暴く人間の内奥

『ストーカー』は、願いを叶える部屋があるとされる謎の領域ゾーンへ、案内人、作家、教授が向かうSF・哲学映画である。タルコフスキーは、未知の空間を冒険の舞台ではなく、人間の信仰、欲望、救済への不安を映し出す精神的な場所として描いた。

制作国
ソ連
監督
アンドレイ・タルコフスキー
  • 信仰;欲望;空間;救済;不確実性
批評を読む

SF・哲学映画 · 1972

惑星ソラリス批評:宇宙が映し出す記憶と罪悪感

『惑星ソラリス』は、未知の惑星を調査するSFでありながら、宇宙の謎よりも人間の記憶、罪悪感、愛の不確かさを描く哲学映画である。ソラリスの海は外宇宙の存在であると同時に、人間の内面を映し返す鏡として機能する。

制作国
ソ連
監督
アンドレイ・タルコフスキー
  • 記憶;罪悪感;他者;宇宙;愛
批評を読む

ヤクザ映画・群像劇 · 1973

仁義なき戦い批評:暴力を利害の政治として描く群像劇

『仁義なき戦い』は、義理や任侠の美学を剥ぎ取り、暴力を戦後社会の利害調整と組織政治として描いたヤクザ映画である。深作欣二は、英雄なき群像劇の中で、秩序が崩れた時代に人間がどのように組織と暴力へ飲み込まれていくかを映し出した。

制作国
日本
監督
深作欣二
  • 暴力;組織;戦後;利害;秩序崩壊
批評を読む

戦争映画 · 1979

地獄の黙示録批評:文明の奥にある狂気

『地獄の黙示録』は、ベトナム戦争を舞台に、密命を受けたウィラード大尉がカーツ大佐を追って川を遡る戦争映画である。だがその旅は軍事作戦である以上に、文明、帝国、理性の奥に潜む狂気へ向かう神話的な下降である。

制作国
アメリカ
監督
フランシス・フォード・コッポラ
  • 戦争;狂気;帝国;暴力;神話
批評を読む

犯罪・心理ドラマ · 1976

タクシードライバー批評:都市の孤独と暴力的自己救済

『タクシードライバー』は、眠れない元海兵隊員トラヴィス・ビックルが、夜のニューヨークを走りながら孤独と嫌悪を深め、暴力的な自己救済へ向かっていく心理ドラマである。都市の孤独、男性性の不安、社会からの疎外を描いた作品として、現代にも鋭い問いを残している。

制作国
アメリカ
監督
マーティン・スコセッシ
  • 孤独;都市;暴力;男性性;疎外
批評を読む

ディストピア・犯罪 · 1971

時計じかけのオレンジ批評:自由意志を奪う管理社会

『時計じかけのオレンジ』は、暴力的な若者アレックスを主人公に、国家が犯罪をなくすために人間の自由意志を矯正しようとするディストピア映画である。作品は暴力の嫌悪感と管理社会の恐怖を同時に描き、善とは選択できる自由があって初めて成立するのかという問いを突きつける。

制作国
イギリス・アメリカ
監督
スタンリー・キューブリック
  • 自由意志;暴力;管理;矯正;国家
批評を読む

犯罪・家族ドラマ · 1972

ゴッドファーザー批評:家族という名の権力構造

『ゴッドファーザー』は、マフィア一家の犯罪映画であると同時に、家族愛が権力構造へ変質していく過程を描いた悲劇である。ヴィトーからマイケルへの継承は、父の精神を守る行為でありながら、同時に家族を制度化し、愛を支配へ変えていく物語でもある。

制作国
アメリカ
監督
フランシス・フォード・コッポラ
  • 家族;権力;移民;暴力;継承
批評を読む